すると少女は無言のまま、怠そうにゆっくりと手を上げて、沙霧の足元を指差した。




つられて視線を落とすが、特に変わったものはない。






「…………どういうことだ?」






少女は不機嫌そうに眉をひそめると、薄く唇を開いた。






「…………お前の、足。それと、手。



凍傷に、なりかけていた。



治したら、疲れた」






簡潔すぎる言葉に、その意味をすぐに呑み込むことができない。





沙霧はしばらくの間、自分の手と足を見比べていたが、はっと思い当たった。






雪穴から出て歩き出そうとした時の、言いようもないほどの激しい痛みを思い出したのである。






「…………あぁ、ずっと雪に埋れていたから………。



………え? 君が、治してくれたのか?」






沙霧の手も足も、凍傷になった形跡など微塵も感じられないほど、きれいに治っていた。






(………そんなこと、どうやって………)






不思議に思って、沙霧は真意を確かめるように少女を見つめる。





白い少女は何も言わず、座ったままで沙霧を見上げていた。