絵巻物のように美しい光景に、ほぅ、と沙霧は吐息をつく。




しかし、外の冷気が容赦なく肌を刺し、悪寒が走ったので、すぐに戸を閉めた。






藁の寝床に戻ろうと、身を翻した瞬間。







「…………起きたのか」






囁くような声が聞こえてきて、沙霧はびくりと肩を震わせた。







「…………だ、だれだ?」






どぎまぎしながら薄暗い板屋の中を見回すと、片隅にうずくまる白い人影が目に入ってきた。






「……………あ」






雪原で出会った、真っ白な少女だった。





少女はどこか気怠げな様子で、壁にもたれかかっている。






「ああ………君か」






沙霧はほっとしたように呟いた。





少女は応えずに、ただ沙霧に目を向けていた。






「…………どうか、したのか。


疲れているようだが」






「…………お前のせいだ」






「……………え?」







沙霧は眉を上げて訊き返した。