「…………っ!!」






一歩踏み出した瞬間、何万もの太い針が一気に突き刺さったような激しい痛みが、沙霧の右足を走った。





激しすぎる痛みが、脚から急速に上ってきて、心の臓をぎりりと引き絞ったように感じられた。





一瞬、意識が遠のく。





ふらりと身体を傾がせて、沙霧は雪の上に倒れこんだ。





少女は無言のまま、沙霧の傍らに座り込む。






「…………痛むのか」





「……………っ」







痛みのあまり声も出せず、沙霧はこくこくと頷いた。






「…………世話のかかる奴だ」







表情のない声色で呟いた少女は、細い指先をすっと沙霧の額に当てた。






そこで、沙霧の意識はふっつりと途切れた。