櫛としての厚みは丁度よかったので、あとは形を整えるだけで十分だった。






まずは端を切り取って半円の櫛形にし、刃を入れて歯の部分を作る。





器用に形を整えていくのを見て、泡雪が呟いた。






「……………よく分からないが、手際がいいな」






沙霧ははにかんだように笑って、手を止めずに言う。






「ははは、ありがとう。



小さい頃から、こういった細かいことをするのが好きでね。


宮廷つきの細工師に習って、色々な道具を作っていたんだよ。



まぁ、下手の横好き、ってやつだな」







泡雪はじいっと見つめながら、独り言のように呟く。







「………下手ではないだろう。


じゅうぶん上手いように見えるが」







沙霧は目を丸くして、照れたように笑った。