いつになく饒舌に語られた言葉に、沙霧が目を丸くした。




それから、ふっと目許を緩める。







「そうか………それならいい。


安心したよ」






「ん」






泡雪はこくりと頷いた。





沙霧はそれをじっと見てから、訊ねる。







「…………君は、これまでずっと、一人でいたのかい?」







泡雪は当然だとばかりに首を縦に振る。







「いつから?」






「…………分からない。


気がついたときには一人だった。


誰かと暮らしたことはない」






「そうか………」







沙霧は切ない思いを込めて、泡雪の頭を撫でた。




泡雪は心地よさそうに目を細め、されるがままになっている。






雪よりも白い髪を梳くように撫でていると、肩のあたりで手がつかえた。






「ん?」






沙霧が目を瞠って見つめると、髪に小枝が絡まっていた。





それを取り除き、絡まった髪を丁寧に解きながら、沙霧が言う。







「せっかくのきれいな髪が、これでは可哀想だなぁ」