疾風はびくりと肩を震わせ、玉梓を抱いたまま慌てて身を起こした。







声の聞こえてきた方向に目を向けると。







「………さっ、沙霧!!」







洞窟の入り口に、目を丸くした沙霧が立っていた。







「………あっ、すまぬ!!


邪魔をしたな!!」







心なしか顔を赤らめて出て行こうとした沙霧を、疾風と玉梓が声を合わせて呼び止めた。







「沙霧、待て、待て!」





「邪魔なんかじゃないわよ、入って来なさいな」





「…………そうか?」






はにかんだ顔のまま振り返った沙霧の右手の先が、なぜか洞窟の外へと消えているのに気づき、疾風と玉梓の目が無意識のうちにそちらへ向かう。







「……………え?」





「……………まぁ」