「…………ふん」






泡雪はすっと視線を外して、雪原に目を戻した。





沙霧はその姿をじっと眺める。




真新しい白雪に反射する光に照らされた白皙の相貌も、風に舞い踊る純白の髪も、泡雪の全てが銀世界に溶け込んでいた。




その中に、強い光を秘めた琥珀色の瞳が輝いている。







沙霧の唇から、無意識のうちに、ぽろりと言葉が零れ落ちた。







「……………きれいだ」






「……………?」








沙霧の言葉がよく聞こえず、泡雪はちらりと一瞥した。





沙霧はにっこりと笑い、泡雪の手を両手で包み込む。







「ーーーーー行こう」






「…………は? どこに………」








泡雪は怪訝そうに顔を歪めたが、沙霧はにこにこしながら歩き出した。