矢傷を負った片脚を庇うようにぎこちなく歩く泡雪の後を、沙霧が慌てて追う。







「ーーー泡雪!」





「……………」





「どこへ行くんだい!?」





「……………」





「泡雪、泡雪!」







何度無視してもめげずに追いすがってくる沙霧に、泡雪はとうとう根負けして足を止めた。







「………うるさい奴だなぁ」





「泡雪………まさか、また、このままいなくなるつもりじゃ………」






初めて出会ったとき、泡雪がふらりと小屋から出て行ったきり戻らなかったことを思い出し、沙霧は深い不安に捕らわれたのだった。





泡雪の手首を遠慮がちに、しかししっかりとつかみ、切な気な表情で見下ろしてくる沙霧を見て、泡雪はふっと目許を緩める。







「……………別に、そんなつもりでは………」