*
(………ん?
なんだ………?)
さらさらと頬に触れるものを感じて、沙霧はゆっくりと眠りから覚めた。
まだ重い瞼を上げて、朝陽の目映さに瞳を眩ませ、じっと目を凝らす。
「…………あ」
思わず、声が出た。
沙霧の目の前に広がっているのは、絹糸のように細く優美な、純白の髪の毛だった。
「…………泡雪!」
怪我を負ってからずっと白狐の姿をしていた泡雪が、人の姿に変化していたのである。
「泡雪、人の形に戻れたのか」
沙霧は微笑んで、つややかな白皙の頬をそっと撫でる。
眠りを妨げられた泡雪は、思いきり眉をひそめた。