積もった雪から頭だけを出し、黙り込んでしまった沙霧を、少女はじっと見下ろす。






「………お前」






少女の低い声に、沙霧は顔を上げた。






「…………死にたくないのか」





「……………は?」






唐突な問いに、沙霧は目を丸くした。



少女は確認するように繰り返す。






「お前は、生きたいのか」






沙霧はぱちぱちと瞬きをしてから、やっと言葉を紡ぎ出した。






「………あ、当たり前だろう………。



生きたくない人間など、いるものか」






「………………」






少女は答えず、じっと沙霧を見た。






「………そんなに、死にたくないのか。


人間というのは、変な生き物だ」






「…………は……?」






「………それなら、まぁ………助けてやってもよい」