「して、話というのは?」





「はい………。


このことは、わたくしだけの思いではなく、全ての公卿、殿上人たちの懸念いたしておりますことなのですが………」






「ふむ、何事だ」







兼正はごくりと唾を飲み込んで、意を決して顔を上げた。







「ーーーーー主上は、日嗣の御子について、いかがお考えなのでしょうか」






「……………」






帝は何も言わない。





兼正はもう一度ごくりと喉を鳴らした。







(………まさか、私の差し出がましい言葉にお怒りなのか………)







押し黙って帝の返答を待つ兼正の額に、脂汗の粒がいくつも浮かび上がる。






息の詰まるような重苦しい沈黙が、殿上の間を満たしていた。








「…………主上?」








兼正は堪り兼ねて、とうとう帝に再び声をかけた。