沙霧は呆れたように眉を上げた。






「関係ない、などとは………。


君はなんと無情なことを言うのだ。



情けは人のためならず、ということわざを知らないのか?



これはな………。


誰かに情けをかけて親切にしてやるのは相手のためなのではなく、いつかその親切が自分に返ってくるからである。


つまり、情けというのは、未来の自分のためにかけるのだ、という意味なんだよ」






「………………」






「君がいつか、今のわたしと同じように危ない目に遭ったとき、誰かに助けてもらいたいだろう?


だからこそ、今わたしを助けておけば、そのときに誰かに助けてもらえるということだ。



わたしは君に今助けてもらったら、その恩は一生忘れないよ。


君が危険な状況にあるときには、必ず助けると誓う」






「………………」







少女はまったく無反応だった。






(これはまさに、のれんに腕押し、というやつだな………)






沙霧はそう考えて絶望した。




どうやら、この少女に助けてもらうのは無理そうである。