口を噤んでしまった沙霧を冷たく見下ろし、少女は再び歩き出そうとした。





沙霧は慌てて、「あっ、待ってくれ」と声を上げ、少女を呼びとめる。






少女は眉をひそめて振り向いた。







「………君、こんなことわざを聞いたことがないか?



袖すり会うも他生の縁、というだろう。


わたしたちはたまたまここで出会っただけだが、これも、前世から決まっていた縁に違いないのだ。



偶然だと片づけずに、わたしを助けてくれないか?



このままではわたしは、じきに凍死してしまうだろう………」







「…………そんなことは、私には関係がない」







沙霧の必死の言葉を聞いても、少女は表情さえ変えず、冷淡に言い放った。