白縫山の盗人たちが住む村の外れまで辿り着くと、沙霧は誰の目も引きそうにない小さな洞窟に足を踏み入れた。





胸に抱きしめた羽毛のように軽い身体を、枯葉の溜まっている上にそっと乗せる。




すぐに自分の着ていた蓑を脱ぎ、地面に敷き広げると、泡雪の身体を移した。





腰袋を開いて中から火打ち石を取り出す。



火口(ほくち)を載せて火打ち鎌で打ち擦ると、ぱらぱらと火花が散った。




火口に火花が移ってじわりと燃え始めたので、枯れ枝に火を灯す。






薄暗かった洞窟の壁に、ゆらゆらと揺れる炎の明かりが映った。






枯れ枝を集めて焚き火を作る。




蓑を引き摺って、泡雪を火の近くに移動させた。