「ーーー良い天気だ」
雪の晴れ間で、日が明るく辺りを照らしていた。
「しかし、眩しいなぁ」
陽の光を反射した雪の白は、瞳に突き刺さりそうなほど目映かった。
雪原の照り返しにはまだ慣れない沙霧の目は、じくじくと痛む。
両手で目を覆い、痛みがおさまってからゆっくりと歩き出した。
疾風と玉梓が暮らしている洞窟に向かって、のんびりと歩を進める。
空を仰ぐと、雪の白によく映える鮮やかな青が広がっていた。
(………せっかくの晴れ間だから、玉梓の所へ行く前に散歩でもしてみるか)
外は思いのほか暖かく、気分の良くなった沙霧は、くるりと爪先の向きを変えた。