冷たく整った白い横顔を見つめながら、沙霧は掠れた声で問う。






「………わたしを、助けてくれないのか」






悲しみよりも驚きの声が口を突いて出た。





少女はさらに首を傾げて、身体をこちらへ向けた。






「………なぜ私が、お前を助けなければならぬ」





「……………え」






女性にしては低い、しかし、澄んでよく通る声。




ごうごうと鳴る吹雪の音にもかき消されることなく、沙霧の耳に届いた。







しかし、その内容は、沙霧を呆然とさせるには十分だった。







(………なぜ助けなければならないのか、だと?



当たり前だろう………困っている人を助けるのはーーー)







少女の答えは、沙霧にとっては思いもかけないものだった。