沙霧は首を横に振り、泡雪の白い顔をじっと見上げた。






「…………二度あることは、三度ある」





「……………は?」






沙霧はにっこりと笑う。





「ことわざだよ」






泡雪は少し考え込むように目を細めてから、嫌そうに言った。






「…………つまり、お前はまた雪壺にはまって死にかけるということが言いたいのか」







真面目に考えてから出したらしい結論に、沙霧はふっと笑い声を洩らした。






「違うよ。


わたしと君のことだ」






「……………?」






沙霧は泡雪の手をきつく握りしめる。






「………この険しい雪山で。


わたしと君は、もう二度も偶然に出会った。



それだけ縁が深いということだ………。



わたしと君は、きっと、また出会うことになるよ」






「……………」






予言のように囁いた沙霧を冷ややかに見下ろして、泡雪は何も言わずに飛び立った。







瞬く間に空高く昇っていった泡雪の長い純白の髪が、海の白波のように風に踊るさまを、沙霧はじっと見上げていた。