きゅ、と足音が止まった。





沙霧の目の前に、真っ白な人影が佇んでいる。




ゆっくりと瞬きをして目の掠れをとり、沙霧は白い人影を見つめた。







「……………」







黙って沙霧を見下ろしているのは、少女だった。







吹雪の中に舞い踊る、白妙(しろたえ)の長い髪。




見たこともないほどに白く透き通った雪肌(せっき)。




濃い紅を載せたように艶めく唇。




強い光でこちらを射る、薄い琥珀色の瞳。







(ーーーーーなんと………)







白く澄んだ輝きを放つ美しさに、沙霧は息を呑んだ。








しかし、何よりも驚いたのは、少女の格好である。






真っ白な少女は、白布の薄い単(ひとえ)を一枚纏っているだけだったのだ。





雪深き山奥で、あまりにも薄着すぎる。





しかも、華奢な足は、裸足のままで雪を踏みしめている。







その違和感に、沙霧は内心首を傾げた。