雪穴から上半身だけを出し、降り積もった雪の上に倒れこんだ形で、沙霧は呆然とする。






(………あぁ、わたしは、なんという間抜けなのだ。


芋の煮えたも御存知ない、と言うが、わたしはまさにそれだ。


なんと世間知らずな馬鹿なのだ………)






つらつらとそんなことを考えながら、自分に呆れ返る。






(あぁもう、自分のことながら、愛想も小想も尽き果てた。



初めてこの山に来たときに雪山の洗礼を受けたというのに、またもや油断して雪に足を取られるとは。


とんでもない阿呆だな、わたしは………)






そうしているうちにも、雪の降り方は増してきた。




このままでは、雪穴に埋れたまま雪達磨になってしまいそうだ。






(………えぇと、どうしよう、どうしよう………)






考えを巡らせるが、足が動かないのではどうしようもない。






(あぁ、無い袖は振れないのだ。


今度こそわたしは死ぬのか………)