「きれいな川だなぁ………」




真っ白な雪の間を細く流れていく澄んだ水の流れに、沙霧の目が奪われる。




分厚い雪雲の間から射し込む陽の光が、水面にきらきらと反射していた。





その光景をうっとりと眺めながら、沙霧は水甕を足元の雪の上に置く。





革の手袋をつけたまま、大きく伸びして息を吸い込んだ。





刺すような冷気が気道を通り、肺の中に飛び込んでくる。






(冷たいが、なんとも清冽で研ぎ澄まされた空気だ。


都のものとは全く違う、心の隅々まで洗われるような空気だ)






雪山の冴えた空気を胸いっぱいに吸い込んで、沙霧は満足気に微笑んだ。






「さぁ、水を汲もう」






そう独りごちて足を踏み出した、瞬間。






「………ぅわぁっ!!」