空が暗くなったような気がして仰ぎ見ると、綿埃のような細やかな雪片がはらはらと舞ってきた。





(ーーーまた降り出したな。


早く水を汲んで戻らないと)





沙霧はそう考えて、足を早めた。




しかし、まだ雪の上を歩くのは慣れない。



積もったばかりの柔らかい雪の中に足が沈み込むたび、大きく体勢を崩してよろめいてしまう。





(早く慣れなければな。


好きこそ物の上手なれと言うから、やはりまずは好きにならないと)





傾いた身体を立て直し、一歩一歩、慎重に進んでいく。





そのうちに、目指していた小川が見えてきた。





そこは冬でも凍らない、山で暮らす者にとっては貴重な水源である。





(よし、急いで水を汲んで戻ろう)





沙霧は逸る気持ちを抑えながら、雪に覆われた岩場をゆっくりと降りていった。