すると、その拍子に、玉梓が「あっ」と声を上げた。






「どうしたんだ!?」






まさか陣痛でも来たのかと、沙霧は慌てて玉梓の顔色を窺う。



しかし玉梓は安心させるように笑うと、自分の腹を指差した。






「いま、赤ちゃんが動いたのよ」




「………え、えぇっ!」






沙霧はのけぞるようにして驚いた。



その頬が、一気に紅潮する。



そして、跳び上がりそうな勢いで喜びの声を上げた。






「本当かっ、玉梓!!


いやぁ、なんて素晴らしいんだ………。


手の舞い、足の踏むところを知らず!」






あまりにも嬉しそうなので、玉梓はやはり笑いが堪えきれない。






「まぁ、沙霧ったら。


まだ生まれたわけでもないのに。


ただお腹の中で動いたってだけで、そんなに喜んじゃって。


これじゃあ、赤ちゃんが生まれたらきっと大変なことになっちゃうわね」