沙霧は曖昧に笑うと、話を切り上げるように玉梓の大きく膨れた腹部に視線を落とした。






「だいぶん大きくなってきたなぁ」




「ええ、おかげさまでね」




「疾風も楽しみで仕方がないだろうな」




「あの人、ちゃんとかわいがってくれるかしらね?」




「えぇっ、もちろんだよ! あいつは昔っから、本当に面倒見が良かったんだから!」




「そうねぇ」






沙霧が必死になって言い募るので、玉梓はぷっと噴き出してしまった。




年上の玉梓にからかわれているのにも気づかず、沙霧はしみじみと呟く。






「それにしてもなぁ。


あの疾風が父親とは………時の流れとは本当に早いものだな。


まさに、光陰矢の如し、だな」






感慨深げにいつものことわざを披露するので、とうとう玉梓は声を出して大笑いした。