暗い雲で覆われた空からは雨粒が零れ落ち、コンクリートを濡らしては排水溝へと流れ込む。

流れるその水が写すのは、鉛色の空。


まるであたしの心模様だ。


いつか晴れる日がくるのだろうか。


雅人のことが好きだという気持ちを失って、またいつものように笑える日は訪れるのだろうか。


そんな日が…



扉が乱暴に開けられる音が聞こえたと思ったら、




「美玲!」




「ま、さと…」




あたしは目を見開いた。


息を切らした雅人がそこにいた。痛いほど、あたしを真っ直ぐに見つめている。


あぁ、一番会いたくなかった。

会いに来てくれたことは嬉しいけど、今だけは会いたくなかった。

「お前こんなところで何してんだ!?
こんなに土砂降りなんだ、風邪引くじゃねーか!」

怒っているらしい雅人は自分が濡れるのも気にしないで、あたしの方へ一直線に歩いてくる。