「え…?」


先輩に言われて初めて、自分が泣いていることに気付いた。



泣き声なんか出していないのに、分かってくれた。


それが、たまらなく嬉しかった。



『家の前出て』


「何で?」


『着いたから』


「どこに?」


『花音ん家の前』


「えっ!?」



慌ててベッドから起き上がり、窓から外を覗くと、携帯を片手に、自転車に乗っている先輩がいた。


私は、部屋のカーテンを閉めた。




嬉しいくせに、素直になれない。