「今帰りか?」
「……涼」
真鍋の姿が見えなくなった頃だった。
隣の家の玄関が開き、涼が家から出て来た。
「うん、文化祭の準備で遅くなっちゃって」
「…そっか。看板作りだっけ?大変そうだな」
涼はそう言いながら自転車の鍵を開け、そしてゆっくりとまたがる。
「どこか行くの?」
「あぁ…うん」
岡崎さんのところかな、なんて妄想が勝手に頭に浮かぶ。
「そっか…暗くなってきたし気をつけてね」
「おう」
「じゃ…」
そう言って、自転車をとめ玄関へと歩き出した。
「お前も行くか?」
だけどその声ですぐに足が止まる。
「どこに行くの?」
「ん?DVD借りに」
涼の言葉を聞いた途端、とにかく嬉しくて。
「うん!行く!ちょうど行きたかったんだー!」
家にカバンを置きに行くと、またすぐに家から出て来た。