そのボールは空をさ迷う朧月。


……なーんて、ロマンティックにあてられた表現を心の中でしてみたり。


さ迷うどころか、迷い無く、ボールは真っ直ぐゴールリングを潜って行った。


「ビューティフォー!やられた!やわかい、やわかすぎるわよ、フェイダウェイ!マシュマロフェイダウェイ!」


「なんだそりゃ。あんたやっぱり謎過ぎじゃん?」


俺のフェイダウェイシュートにはしゃいで良く分からん表現をする皇律子を他所に、俺は作戦第二を既に頭に巡らせる。


そう、メインはあくまで、ゴール数を追い付かすことじゃなく、その先の皇律子のオフェンスを追撃すること。


「ラスト一本、取らせて貰うわよ」


「そう簡単にやられてたまるかってんだい!」


ここが正念場。踏ん張れ俺、絶対、ここは守りきる。