こりゃ、わざと負けるなんて、考える暇も無さそうだな。


「予定変更。あんたを捻り潰したうえで断ってやるよ」


「あらあら、じゃあ私も君を負かしたうえでチームに入れてくれって土下座さしてやろうかしら、ふふっ!」


負けず嫌い同士、プライドと実力に闘志をたぎらせる。


「私がオフェンスだったから、次は香椎君の番ね」


皇律子が拾ったボールをヒョイ、と投げる。


それを受け取り、ボールのイボイボしたゴムの感触を掌で味わい、そっと地面にトントン、と弾ませる。


「俺はあんたみたいにシューターとしての度量も無いから、正面から抜くよ」


「よっしゃ来い!絶対止めーる!」


さて……女のくせに、小さいくせに全く隙の無い皇律子をどう出し抜こうか。