一気にクラスが静まり返った。


「え...」


「いいから、来るんだ。」


先生に連れられて、職員室に行った。そ


こには、黒いスーツ姿の男がいた。


「君が、真島美咲さん?」


頭髪を、オールバックにした男は、優し


そうな声で言った。


「あ...はい。」


なんとなく、気後れして小声になった。


「ああ、いいよ。そんなに緊張しなくても。」


男は優しく言った。


「警察は、人を守るためにいるからね。


突然で悪いんだけど、少し場所を変えよ


うか。」


「あ、はい。」


私は言われるままに男について行った。


途中、男はいろいろ話をしていたが、私


は始終適当に相づちをうっていた。


「でね、その上司ってのがさー、また最

悪でさ、本当辞めちゃおうかなって。」


「はあ、そうなんですか。」


気がつくと、そこは学校の駐車場だった。


「え、車乗るんですか?」


驚きのあまり声が裏返った。


「うん。あれ、言ってなかった?」


男は、とぼけたように言ったが、絶対に


ワザとだと確信した。


「だって、言ったら美咲ちゃんついてき


てくれ無かっただろう?」


しれっと、笑顔でそんな事を言う。


こんな奴がいるから、世の中物騒になる


んだ、と思った瞬間だった。


「さ、乗って。」


と、男は助手席のドアを開けた。


「え、あ、後部座席でなく?」


すると、男は目を丸くした。


「あ、あぁー!いや、君、勘違いしてな


いか?別に僕は美咲ちゃんをどうこうす


るつもりは無いよ。」


顔が赤くなるのが自分にも分かった。


よく考えれば、警察の人がそんな事をす


るはずが無いのだ。


「ははは、そんな緊張しなくていいよ。


緊張するのはこれから.......」


「え?」