「ケルピーなら俺だな。」
そう言って帝虎が獣のまま歩きだした。

「ケルピー………?」

「水棲馬、一種の精霊のことだよ。」

俺に説明する狼茉も狼の姿のままだ。

(また出たよ………"精霊")

「行くぞ。」

沙娜は元々着ていた服の上から学ランにも似た服を羽織り歩きだした。


俺も強制的について行くことになり、今までいた部屋を後にする。


(ここ本当に宮殿みたいだな。)

廊下の天井は高く、全体がしっかりしている。

「ここは"水の宮殿"だ。」

「いちいち人の頭ん中読むな。」

最初は驚いたが、もう馴れた。