「・・・・・・・・・・・え??」
「あ、昨日ね、シゴト帰りに質屋に行って大貴がくれた指輪を見てもらったの。 思った以上に高値でさ。 ビックリした」
藍が、少し淋しそうな表情で『ふふッ』と笑った。
「・・・・・・・・・・売ってきたの??」
アレは藍にあげたもの。 売ろうが捨てようが、藍の自由。
だけど、やっぱり悲しい。
「売るつもり。 ・・・・・・・・・でも、もう少し持ってたいから、もう少しだけ手元に置いとく。 NY行く前には売って、今日振り込んでもらったお金と一緒に大貴に返すよ。 ・・・・・・・・って、受かる前提だしね」
今度はおどけてみせる藍。 でもやっぱりどこか悲しげで。
「・・・・・・・・・・・藍なら受かるよ、絶対。 でも、本当に行きたいの?? オレの事は気にかける必要ないんだよ。 全部オレの責任なんだから。 ・・・・・・・・・・それに、お金だって返す必要ないんだよ。 ・・・・・・・・・・・なんで藍を裏切ったオレに、そんな事出来んの?? 藍はオレの事、恨んでないの??」
剛の言うとおりだった。 藍は、オレからお金を取る気は一切なかった。
でも何で?? 藍の気はそれで済むの??