「そりゃ、歩くだろうよ。 この道通らなかったら優子の家行けないし。 ココは田舎だから、東京と違って『もうちょっと一緒に居たいから遠回りして帰ろう』なんてドラマみたいな事して道変更しようモンなら、ちょっとどころか2時間くらい平気でかかるし」







藍を宥める様に、繋がれた手を前後に大きく振ると、藍が少しだけ『フフ』と笑った。








「この辺に住んでる人たちって、デートコース被っちゃうでしょ。 連れとバッタリとか結構ありそう」








「全然ある。 ・・・・・・・・・藍、田舎バカにしてるだろ」








藍に白い目を向けると








「してないし。 羨ましいなぁと思ってさ。 東京はさ、デートスポットはいっぱいあるけど、こんなに自然とか空気が綺麗な場所はないからさ」









藍が目を閉じて、都会にはないという新鮮な空気を吸い込んだ。









「ソレ言ったら、田舎にだって東京みたいに煌びやかな街ないっつーの。 ・・・・・・・・・藍、無いモノ強請りだなー」








そんな藍の鼻をワザと摘むと、藍が『ぐほッッ』と咳き込んだ。








藍がやられたままでいるハズもないワケで、呼吸を整え直した藍は、オレの背後に回るとオレの追いかぶさり、肘をオレの首にかけた。








・・・・・・・・・・・苦しい。








「大貴のデートスポットに連れてけー!!」








『行けー!!』と人差し指を立てた手を、元気いっぱいに前方に押し出す藍に、歩く気はないらしい。









「~~~~~~~~もー。 しっかり捕まっとけよ」








首にかかった藍の肘を緩め、藍をおぶりながら近くの綺麗な川を目指す。








オレが1番好きな場所。








「はーい」








藍がオレの首元に顔を埋めた。








優貴、楽しく優子の話を聞けているか??








お父さんは、優貴のお陰で最高に楽しいデートが出来ているよ。 ありがとう。