「・・・・・・・・・・お父さんは、お母さんに興味を持つ必要なんかないと思うよ、オレ。 だって、お父さんのお嫁さんはオカンでしょ?? お母さんはお父さんにとって『昔好きだった人』。 今じゃない。 今大事にしなきゃいけないのは、オカンでしょ?? お父さんにお母さんの昔話は必要ない。 オレさえ聞けばそれでいい」







『オカン追いかけてきなよ』優貴がオレの膝を『ポン』と叩いた。







「行ってきて下さい。 アナタはわざわざ優子に手を合わせに来てくれて、孫まで連れて来てくれた。 ワタシたちも感謝していますし、優子もきっと喜んでいると思います。 だから、アナタは今生きている藍さんと、優貴の気持ちを大事にして下さい。 優貴の事はワタシたちに任せて、藍さんと2人でデートでもして来たらどうですか?? 東京に住んでいるのなら、こんな自然の中でデートする事もなかなかないでしょう??」








優子の父親が、オレに微笑みかける。







ありがたい言葉。 でも、優子の両親は良いかもしれないが、優貴は本当に大丈夫なのだろうか。








優貴の顔を見ると、優貴が強気な笑顔を返してきた。








「オレ、まじで大丈夫だっつーの。 お父さん言ったじゃん。 『お母さんは自分の親を恨んでたわけじゃないって。 好きだったから迷惑かけない様にこの家から離れたんだ』って。 お母さんが嫌ってもなかったおじいちゃんとおばあちゃんを、オレが嫌うのはおかしな話だと思わない?? ・・・・・・・・・・てか、やっぱオカンを味方につけとくと得するんだね。 だってさぁ、一般的におじいちゃんとおばあちゃんって、2人ずつしかいなくない?? オレには3人ずついるんだよね。 ミラクル」








今日の優貴は、本当に嬉しそうに幸せそうに笑う。








優子のおかげだけじゃない。








藍と優子の両親の存在も、優貴にとっては大きいんだ。