だからって、藍に我慢させる事も、優貴に優貴が楽しみにいていた優子の話を聞かせないなんて事も出来ない。
「・・・・・・・・・・・あの。 ココら辺はそんなに複雑な地形ではないので大丈夫かとは思いますが、迷ったり何かあったりした時はすぐに電話くださいね」
優子のお母さんが、藍を気遣いながら、何とも言えない笑顔をした。
優子の両親にとって、藍は娘ではない。 オレも息子じゃない。 ただ、優貴は血の繋がった孫。 オレと藍は他人なのに、『赤の他人』にはなれない複雑な関係。
オレが知らず知らずにしていた事は、こんなにも人間関係を難しくして、こんなにも色んな人に気を遣わせる事だったんだ。
でも、オレは後悔していない。
藍を好きになった事、優貴に出会えた事。 後悔どころか、感謝しかない。
だから、オレが立て直さなきゃ。
みんなに迷惑をかけた分、オレがみんなを幸せにする。