給湯室を覗くと、藍が鼻歌を歌いながらカップにコーヒーを注いでいた。
「藍」
そんな藍に声を掛けると
「あ、大貴。 お疲れー。 コレ、大貴にあげるよ」
藍は一旦鼻歌をやめると、注いだばかりのコーヒーをオレに手渡し、『フンフン♪』鼻歌を再開しながら、違うカップにコーヒーを入れた。
どこまでも機嫌の良さそうな藍。
「・・・・・・・・・・・ありがと。 ・・・・・・・・・・藍、みんなに色々言われて嫌じゃないの?? ゴメンな、オレのせいで。 無理に笑わなくていいんだよ。 オレに当たってくれていいんだよ」
藍からコーヒーを受け取ったまま飲まずに謝罪するオレに、藍が『折角淹れたんだから飲みなさいな』とカップを持っていたオレの手をオレの口元に持っていった。
されるがままにコーヒーを一口含んでカップの中を見ると
黒茶色の水面に、情けない顔をした自分が映っていた。
オレ、なんて顔をしているんだろう。 だっさ。