「じゃあ、藤吉くん」







課長に指名され、前に出る。







緊張気味に小さく深呼吸すると、後ろの方に立っていた藍が見えた。







オレとは正反対に、藍は笑顔のままで。







優貴の事をみんなに話す事に、抵抗どころかちょっと嬉しそうにも見えた。







オレの悩みなんて、藍には取るに足らない事らしい。







自分の小ささを情けなく思いながら、口を開いた。








自分に8歳の優貴という大事な息子がいる事、それでも藍と結婚する事を話すと








部長も課長も同僚もザワつき








『本田さん、何考えてるんだろうね』 『本田さんはもっと頭の良い人だと思ってた。 なんでワザワザ子どもがいる様な人と・・・・・・・』 『藤吉さんに隠し子って・・・・・・・』など、お前ら隠す気ないだろ??くらいのボリュームでひそひそ話出した。







予想通りのみんなの反応。








だけど藍は笑顔のままで







「そーゆー事なので、息子の事も宜しくお願いしますねー」







と一言だけ挨拶すると、早速シゴトに取り掛かった。







藍は、あんな事を言われて何で笑っていられるのだろう。