「結婚はするつもりだったけど、そもそも結婚式をする予定なかったんだ」







藍が、嘘を搾り出す。






「・・・・・・・・・・・・ふーん?? お父さんとオカンってさぁ、おじいちゃんとおばあちゃんに結婚の挨拶ってしたんだよね?? 『いつ結婚します』ってちゃんと日にち言わなかったの?? オカンの方のおばあちゃんとか、絶対納得しないでしょ。 そんな『じゃあ、次の大安の日に~』なんてユルい決め方。 ・・・・・・・・・・・・なんで嘘吐くの??」






優貴が、イラついて、でも悲しそうな目でオレらを見た。







・・・・・・・・・・・・この子に嘘なんか吐けない。







お母さんを亡くして、出会ったばかりのオレらと生活を始めて、不安だらけだろう優貴に、嘘を吐いてはいけない。







「再来月のアタマの土曜日に、結婚式をする予定だった。 だけど、やめる。 オレも藍も結婚さえ出来れば、結婚式はいつでもイイから。 ・・・・・・・・・・・優子の四十九日も近いし、今年中に結婚式をするのは控えたいんだ」