優子がオレに黙って1人で子どもを育ててくれたおかげで、オレは今まで東京で幸せに暮らせていた。
大学で青春を謳歌し、就職難ではあったけど、希望の会社にも入れた。
そして、藍に出会う事も出来た。
仲間の言う通り、大学を辞めて田舎に帰っていたら、『子どもさえ出来なかったら・・・・・・・』なんて後悔していたかもしれない。
でも、オレは今、これまで自分に子どもがいるという事実を知らなかった事を悔やんでいる。
あの時、優子の電話に出ていたら
田舎に戻って就職していたら
オレが優子と子どもを養っていたら
優子を働きに行かせていなければ
優子は死なずに済んだかもしれない。
あの子から、母親を取り上げる事もなかったかもしれない。