「・・・・・・・・・大貴、大学楽しかったんだろ?? 今のシゴトだって好きなんじゃないの?? もし、あの時優子が『子どもが出来た』って言ったら『堕ろせ』って言わなかった??」







眉間に皺を寄せ、苦々しい表情をする友人。







「言わねぇよ!!」







だって、自分の子どもだ。 殺せるワケがない。







「・・・・・・・・・・大学辞めて、地元で就職して・・・・・・・。 大貴はそれでも満足してたかな。 それが嫌で東京行ったんだろ?? 優子は大貴に、子どもが出来たからって仕方なく地元に帰って来させる様な事したくなかったんじゃないのかな。 後悔して欲しくなかったんだろ。
優子は大貴の実家の連絡先を知ってたから、大貴と連絡を取ろうとすれば出来たのに、それをしなかったって事は、そーゆー事なんじゃん??
連絡が取れなくなったって事で、大貴が自分にもう気持ちが全くないって気付いただろし」








「・・・・・・・・・・・」








仲間の話に、返す言葉が見つからない。









「・・・・・・・・・・・・それでも優子は産みたかったんだろうな。 きっと、親に勘当されなかったとしても、家を出て1人で育てる気だったんだと思う。 だって、オレらにも何も言わずに急にいなくなったから。 オレらも優子に子どもがいるって知ったの、優子が死んでからだったし。 ・・・・・・・・・・そうまでして、大貴の耳に入れたくなかったんだろうな。
・・・・・・・・・・・『母は強し』だな。 オレ、優子は1人じゃ何も出来ないヤツだと思ってた」









「・・・・・・・・・・・・オレも」








あの頃、オレは優子が大好きだったはずなのに








オレは優子の何を見ていたのだろう。