「英語しんどかったね。綾菜ちゃん」

あ、そう言えばいたなこの子。
忘れてた。

「うん。」

「あーもしかして杏里のこと忘れてたー!?」

バレた。でも素直にうんとは言えない。

「そんなことないよ。」
「そっか。よかった。ふふ。
 今日はどこかよっていける?」

ああ…なんでこんなにどこかよって行きたいんだろう。
JKってやつは。

「どこ行きたいの?」
「ん〜どこってわけじゃないんだけどぉ〜…。
 ぶらぶらしよ〜よぉ〜。」

行き先ないんかい。

「無駄に歩くの?私そういうの楽しいタイプじゃないの。
 悪いけど他の子とどうぞ。」

「もう、冷たいなぁ。」

2時限目のチャイムが鳴る。

「………うざ。」

小さな声でそうつぶやきながら桜庭さんが席に戻っていった気が
したのは気のせいだろうか。」