…うわ、なにこの黄色い声。
さっき私たちに挨拶してきた友達たちが、みんな目をキラキラさせながら奏太に挨拶する。
「 …おはよ。」
挨拶させた本人は、若干うるさそうに眉をしかめながら挨拶を返す。
『ねぇ、優衣。
奏太って、案外モテるんだね。』
「…あ、うん。そうだね。
…奏太のこと、気になる?」
『ううん、べーつーにーー?』
…あぁ見えても、奏太って実はかっこいいからなぁ。
「…あぁ見えてもってなんだよ?」
振り向いたらすぐそばに奏太がいた。
『…あ、奏太!お、おはよう。
…てか、なんでさっきの聞こえて…』
「ばーか、声に出てる。」
…そっかぁ。
こうやって改めて見てみると、奏太ってきれいな顔してるし、イケメンだよね。
さっきみたいに女の子たちが騒ぐのもうなずけるかも。
…今まで奏太を男として意識したことなんてなかったからなぁ。
自分でも気づかぬ間に、奏太のことをガン見していたらしい。
「…なんだよ?」
奏太が首をかしげながら私のことをみつめる。
…でもなんだかちょっと不機嫌そう。
…もしかして、また心の声聞こえてたかな?
『…ううん、なんでもないよ。』
「…。そうか。」
そう言った奏太の顔は、なんとなく悲しげだったけど、気のせいだろうと思って特に気にも止めなかった。