…か、髪の毛?!?
‥と、普通の人ならそう思うかもしれない。
人の髪の毛がそんなに気になるのだろうか、と、思うかもしれない。
確かに、髪の毛を見たのはほんの一瞬だけ。そのあとすぐ自分の座る椅子の場所についてしまい、前を向かざるを得なかった。
でも、それは、強く強く私の脳内に印象を残したんだ。
‥一瞬しか見られなかったのがかえって印象を強くしたのかもしれないけれど。
席に座り、ステージにのぼったお偉いさんや校長先生の話を聞きながら、あの、オレンジ色を思い出す。
まぁ、実際太陽の光によって色素がうすく見えただけかもしれないが、私にはなぜか黄色がかったオレンジ色に見えたんだ。
きっとそのオレンジ色の髪の毛の人もうとうとしていたのだろう、その髪の毛はゆらゆらと前後に揺れていた。
あのオレンジ色や、揺れ方の感じ、何かに似ている‥‥
‥そうだ、ひまわりだ。
昔、お母さんに1度だけ連れていってもらったことのある、ひまわり畑を思い出した。
その時はまだ、ひまわりが咲き始めるにははやく、全然ひまわりは咲いてなかった。
だけど、そのたくさんのつぼみのなかで、1輪だけ大きなひまわりが咲いていたのを覚えている。
…そう、まさにあのオレンジ色の髪の毛のように。
‥まるで、草のなかにポツンとひまわりが生えているかのように、そのオレンジ色は他の髪色よりもとても目立ち、
そしてゆらゆらと揺れていた。