「俺がラブレターをもらったときも、『なんで教えてくれないんだ』って怒ってたし、なんか最近ニコニコしてるし、なんかおかしいんだよ。そう、なんか」

家に帰ってから誰も家の中にはいないと分かっているのに、俺は部屋に鍵をかけて影山に話していた。

影山はふむふむと聞いていたが、ちょっと考えて笑う。

「まずラブレターもらって怒ってるのは秋人くんのことが好きだからでしょ?それぐらい分かるでしょ」

「え。そうなのか?」

俺はあぐらをかいてベッドの上に座り、影山は宙に浮いている。

「それしかないでしょ。他に怒る理由なんて」

「じゃ、じゃあ最近やけにニコニコしてるのは?」

恋愛にやけに詳しい影山ちょっと興味をもった俺は、乗り出すように聞く。

すると、影山は首を振った。

「それは分からないですよ。秋人くんに好かれようとニコニコしてるんじゃないんですか?」

俺に好かれるように?おかしいだろそんなの。

確かにひよりの好きな人とか知らないし、俺のことが実は好きとかその可能性考えたこともある。

だけどそれを認めたら俺ナルシストじゃね?とか思ってたから心にフタをしている。

「…ないな」

「でもあと1ヶ月ですよ?一ノ宮ひよりと一緒にいられる期間だけでも付き合えばいいじゃないですか」

俺は腕組みして浮いている影山を眉をひそめて見上げた。

「俺に告白しろって言ってんのか?」

影山はニコォッと笑って頷く。

俺はフンッとそっぽを向いた。

「チキンな俺が告白とか、嵐どころか台風くるよ…」

「嵐と台風の違いがよく分かりませんが、別に向こうも告白すればオーケーすると思いますよ」

俺は影山をまた見上げる。

影山はまだ笑っていた。