その日俺がひよりを家まで送ったあと、真っ赤になった夕日を眺めながら歩いていた。

ひよりが死んだ日も、こんな夕日だったっけな…。

とか思いながら歩いていると、頭上から声がした。

「青春ぽくていい感じですよ、秋人くん」

でたよ、このアニメ声。

俺は頭をかきながら上を見た。

そこには予想通り影山の姿が。

「やっぱりお前か、みたいな顔しないでくださいよ!いくら僕でも傷つきます」

無視して歩きだそうとした俺の前にまわって影山が言う。

「お前他の仕事とかないの?俺の願い叶えたらもう1ヶ月後まで会わないと思ってたんだけど」

「ハハハハハ。この仕事かなり暇なんでね、再生人間が途中でおかしくならないように見守るのも仕事…ってことにしておきます」

「サボりたいだけじゃねーか…」

俺が歩き出すと、影山はふわふわと俺の隣に移動して一緒に歩き(?)だした。

「それにしても秋人くん、一ノ宮ひよりが生き返ったってのに、元気ないですね」

おせっかいな奴め。

俺が無視していると、影山がニヤニヤしながら俺に言った。

「もしかして一ノ宮ひよりとなにかあったんですか?」

「なんでお前は分かるんだよ、そーゆーことがよ」

わざと影山から目をそらしているのに、影山は無理やり視界に入ってくる。

「喧嘩ですか?あと1ヶ月しか一緒にいられないんですよ?」

「わかってるよ。喧嘩じゃない。また喧嘩してまたひよりが車に轢かれたら俺立ち直れねーよ」

「じゃあ…なんですか?」

俺はちょっと考えこんでから、ずっとポケットにしまったままだった沖田 美香からの手紙を取り出す。

もうグシャグシャになっている。

「なんですかそれ?」

覗きこんでくる影山に、俺は説明してから、ひよりの今までの反応について話した。