ひよりは顔面レシーブをした上に吹っ飛んだので、どこか打っている可能性もある。

いつもの俺らしくないのに、俺は焦っていた。

保健室では養護教諭が白衣を着て机にかじりついている。

「先生」

俺は息を荒くしながらノックもせず保健室に入る。

すると、熱心に仕事をしていた先生がこちらを見た。

「あらあら、どうしたの」

まだ20代のくせにおばさんくさいしゃべり方が特徴だ。

「バレーをやってたらボールを顔面で拾いました」

俺はソファーの上にひよりを寝かせる。

先生はボールがぶつかって腫れているところに保冷剤をタオルでくるんだものをあてた。

「バレーボールでこれだけ腫れるなんてすごいわね」

「そのあとボールの勢いで吹き飛ばされてたぶん頭打ちました」

少し血が滲んでいる。

すると、先生は困った顔で俺を見た。

「ごめんなさいね、私これから出張なのよ。悪いけど、落ち着くまで側にいてあげてくれる?」

と言って、俺に保冷剤タオルを渡してきた。

「へ?あ、はい…」

他の先生に頼むとかそういう気配りはなかったのだろうか。

だが俺は文句も言わず、保冷剤を赤くなったひよりの額にあてる。

まだ目は覚まさないようだ。

「本当にごめんなさいね。次の授業なに?」

「あ、今日は6限からないんです。たぶん部活も」

「あら、そうなの?じゃあ、その子が起きたら適当に帰ってもらっちゃっていいわよ」

先生のくせに授業ないの知らなかったのかよ!