5限の体育が終わった。

男子は3組と合同サッカーだった。

何だか知らないが中学時代サッカー部だった俺は無理やり試合に出させられた。

まとめ、疲れた。

「今日は女子3組合同のバレーだったろ?ひよりちゃんいるんじゃね?」

中谷が教室に戻る途中で俺に言ってきた。

「いやその情報いらねーし」

「なぁに言ってんだよ、ひよりちゃんの勇姿がみられるチャンスだろ?」

「なんでそんな浮かれてんだよ中谷…」

俺は苦笑しながらも、中谷に腕を引かれ女子が体育をやっている第一体育館を覗く。

ちょうどひよりが試合に出ていた。

足は速いのに他のスポーツの運動神経はまったくないひよりだ。

ボール顔面に受けて気絶するようなモノだ。

「ひよりー!サーブいったよー!」

「お、ひよりちゃんのレシーブだぞ」

中谷がぐっと前に行ったので、思わず俺もそっちを見てしまう。

すると、相手チームのサーブがひよりの頭上に来ていた。

ダメだ。俺の予想通りになりそうだ。

すると、その通り。ひよりの頭にボールは直撃し、大きくひよりは吹っ飛んだ。

「ひより!」

俺は急いで鉄格子のドアを開ける。

気づけば倒れているひよりを抱き抱えていた。

周りのことは考えず、女子体育担当の教師が駆けつけて来る前に、俺は体育館を飛び出していた。

「おい、久我!」

中谷が後ろから声をかけてきたが、ひよりを抱き抱えたまま、保健室へと走った。