私と颯斗は音源へ全速力で向かいながら

「雪奏。さっきの音…」と颯斗が言うと

「うん。甲高い音は私の結界に魔物の技が弾かれた音。…次に有った音は魔物が弾かれ叩きつかれた音。震動はその時のだね…」と言った。…あの震動…かなり大きい物。

結界は私が気絶するか、私が解除しない限り解かれる事は無いけど、大きい物だと回りの被害が甚大になる。

音源に着くと正体が明らかになった。

「鯨…?」しかも空を…違う。空気中にある水分を使って自分を浮かせてるんだ!!

「…!!あの子利用されてるんだ…!!」私が言うと

「どういう事?」と颯斗が言った。

「あの子…普通の鯨だったのに、意思とは無関係に操られてる…!」

「分かるのか?」確認する颯斗の声に、私は私の聞こえてる事を颯斗が聞ける様にした。

〔苦しい…イヤ…こんなことしたくない…助けて…〕そんな声を聞いた颯斗は顔を歪ませ

「卑劣な事を…!!」と右手を握りしめた。

「颯斗、落ち着いて。…こんなことした《ヘル》の一族は許せないよ。だからあの子を楽にさせよう?」と言うと私は鯨に向かって右手を差し出すと《光》を使い、苦しみから逃がした。
〔ありがとう。〕そんな声が聞こえた。