父さんが来て、

「雪奏さんの指が動いたって聞いたが。」と父さんが言った。

「あぁ、俺が『雪奏』って呼ぶ度に…あっほら!」雪奏の指がまた少し動いた。

「確かに。雪奏さん、聞こえるかい?」…父さんが言ったら無反応。

「颯斗、」父さんが言った。…分かった。
俺が頷くと、

「雪奏、聞こえるか?」今度は俺が言うと今度は弱い力だけど握り返した。…ッ!!慌てて父さんの方を向くと顔がもう一度。と言っていた。

「俺はここにいるぞ。雪奏。早く戻って来い」今度は瞼が少し動いた。

「その調子だ颯斗。ずっと呼び掛けろ。」父さんが言って、

「雪奏。」今度は「ん、」と少し声が出た。

「ッ!!雪奏、聞こえるか!?俺だ!颯斗だ!」
呼び掛けると雪奏はゆっくり目を開けた。

「ここ…病院?…颯斗?何で泣いてるの?」
雪奏に言われ頬を触ると濡れてた。

「ったく、5時間だぞ。寝過ぎだ。」嬉しすぎて、泣いた、だなんて言いたく無い。