……言われる間でも無い。

「先生、俺たちは互いに守りたい人や居場所が有るから戦うんです。…遺すだなんて、出来ません。」俺がハッキリ言ってから、隣に座る雪奏を見た。─視線が合うと雪奏は微笑み、その表情は【私も同じ気持ちだよ。】と伝えていた

そんな俺たちを見た先生は、

「─そうか。なら大事にしなさい。…『先生』としてでは無く、俺個人のアドバイスだ。」鈴木先生はそう言った。…鈴木先生は確か奥さんと子どもが居るからな。人生の先輩として、だろう。

「さ、そろそろ職員会議の時間だから教室に行きなさい。」そう言ってから生徒指導室から出た。

─side先生─

五十嵐、時宮と廊下で別れてから職員室に行きながら、生徒会メンバーの事やさっきの二人の事を考えていた。

まだ、成人してない、しかもこの安定していない年頃の高校生に酷な事になったんだろう?と…だが、さっき見た五十嵐の目は未成年者の目では無く《大人の男》の目だった。…守りたい人の為なら、そんな決意をした強い光を持った目。…大人でもあの目の光を持つ者が一体何人居るのか?…今回の事件と時宮の存在が五十嵐を強くさせたのか。

そう思うと大人って何なんだ?…と自問しても答えは出なかった。