ーside雪奏ー

平熱まで下がり、5時位から弓技場で弓を引いていた。

体に染み付いた一連の動作をし弓を引く。

指を離した後、数秒後にタァン!!と的中の音。少し体を慣らさせた後、遠的(弓道の競技の一種)用の場所に移動すると、また弓を引く。

暫くすると颯斗の足音が聞こえた。

けど途中で止めるわけには行かず、この一射は終わらせようと思った。

今いる遠的用の場所は90メートル。…よりいっそう集中しなければ外してしまう。…何故か足音が止まってるけど気にしない。

最後の一射を私は的中させて大きく深呼吸をして颯斗に振り向いた。

「お帰り颯斗。」そう言うと

「ただいま。…熱、下がったのか?」と聞いてくる颯斗。

「うん。すっかり。あ、颯斗がここに居るって事はもう夕飯?」と聞くと

「あぁ…そうだけど。」と颯斗は答えた。

「後片付け有るから颯斗、先に行ってて?」私は言ったんだけど、急に抱き締められた。

「えっ!?颯斗!弓を引いた後だから私汗掻いてるから離して!」颯斗の腕の中で暴れるけど離してくれない。